日本は地震大国です。いつ何時大きい地震が来るかなかなか予知できません。
科学者で随筆家の寺田寅彦先生の有名な言葉、「天災は忘れた頃に来る」のように、災害は繰り返されているのが現実です。日ごろから防災の対策をおこなっておきたいものです。
災害の際は、愛する猫との避難が一緒にできるのか、避難する際にはどういった準備が必要かが気になります。急に慌てないように平時に準備やシミュレーションしておくとよいですね。
猫との防災対策について、今から準備できることやチェックポイントをご紹介しましょう。
愛猫と避難するための事前チェック
筆者は5年ほど前、近隣の防災対策会議に参加し、猫や犬などのペットとの避難についてどうなっているかを確認したところ、ペットとの避難所へ避難は可能であるものの、残念ながら受け入れ側としてどうするか、例えば避難場所でのペットの集合場所や、そこでの生活方法等の決まりやマニュアルはできていませんでした。そのためその後、役所に提案して猫との避難所での生活を含めたマニュアルを作ってもらいました。
皆さんも地元の防災対策のうち、ペットとの避難や避難場所での生活についてどうなっているかの確認をすぐにでもしておくことをおすすめします。
それには地元の行政区域のホームページが参考になります。わからない場合には、区役所などの防災対策課に問い合わせてみてください。
避難場所の確認
まず、近隣の避難場所はどこかを確認しましょう。次にその避難場所でペットの受け入れは可能かどうか、もし受け入れ不可の場合は他の場所を探さなければなりません。
有事の際に慌てて他の場所を探すことのないように、平時に確認し、身近で受け入れ可能な場所を見つけておきましょう。
また、そこに行くまでにどのくらいの時間がかかり、周りに危険はないか、避難所周りの環境も併せてチェックもしておくとよいでしょう。
受け入れ先が不可の場合
どうしても近隣に受け入れてくれる避難場所がない場合には、できるだけ近い場所でペットを預かってくれるペット病院や業者を調べておくとよいでしょう。または、お知り合いの方でペットを預かってくれる方がいればお願いしておくとよいでしょう。
ただし、広域地震の場合には、あてにしていた方も同様に被災されていることもありますので、数か所考えておいた方がよいかもしれません。
先の地震でも、交通のマヒによりペットの輸送が困難になることもありましたので、どちらが引き取りに行くかまで考えておいた方がよいでしょう。
防災グッズの準備
まず、避難するときには両手が空いている方が好ましいため、リュック型のバッグを用意するとよいでしょう。普段からその中に非常持ち出しグッズとして以下を用意しておいてください。
- 猫を入れる洗濯ネット ~猫の捕獲用にも重宝します
- 最低3日分のキャットフード ~普段食べているパウチやドライフード
- 猫砂 ~いつも慣れているもの
- 水は1匹につき1リットル
- プラスチックのお皿数枚
- ペットシーツ最低3日分
- 救急セット ~飲みつけている薬とともに
- 名札・連絡先付きの首輪 ~迷子になった時に連絡が取れるように
- リード ~首輪タイプですと抜けやすいので胴輪付きのものがおすすめ
- 猫の写真 ~スマホに入れておいても、迷子になった時の捜査用
猫は好みが激しい動物ですので、嫌いなものは一切受け付けません。普段食べなれた食事や好きな猫砂などを準備しておくことをおすすめします。
猫の迷子を避けるために、マイクロチップを埋める方法があります。賛否両論ありますが、飼い主が猫の立場でよく考えてあげてください。
おうちでの避難訓練
人間以上に猫は繊細な動物です。知らない人や知らない場所に出会うと緊張してしまいます。避難所に行くような緊急時には、周りも殺気立っていることが予想されます。
そんな時に緊張するなというのは無理なことですが、その中でもできるだけ安心していられるように飼い主がケアしてあげるようにしましょう。
避難の際には、猫の身柄確保→キャリーバッグに入れる→運搬→防災拠点へ、となります。おうちで避難訓練をしておくことをおすすめします。
猫の身柄確保(洗濯ネットの活用)
東日本大震災を経験したうちの家猫は、しばらく緊急地震速報のチャイムが鳴るたびに逃げて隠れていました。それだけ怖い思いをしたのでしょう。
猫は驚いたときに、固まってしまうか、逃げ隠れしてしまうかどちらかです。固まってしまう方は捕獲しやすいのですが、逃げてしまうと見つけ出すのに厄介です。
そんな時にはまずは洗濯用のネットに入れてしまうと便利です。猫の動きは止まりますし、窒息する心配はありません。飼い主は中の猫の様子を外から見ることができます。日頃から洗濯ネットには慣れさせるとよいでしょう。
キャリーバッグに入れる
うちの家猫がそうだったのですが、病院に行く際にキャリーバッグに入ってもらうのですが、病院での治療がよほど怖かったのでしょう、その後キャリーバッグが置いてあるだけでも緊張し、捕獲する際には逃げてひと騒動でした。
一刻を争う避難の際に抵抗されると生死にもかかわるおそれがありますので、普段からキャリーバッグを身近において慣れるようにしてあげてください。
避難場所へ移動中の注意
猫は繊細な動物のため、周囲の状況が普段と違うと危険を察知し、隙あれば逃走する可能性があります。
東日本大震災では、ペットが逃走したり、避難所に入れず飼い主から離れたりして、悲惨な生活を強いられたとの情報がありました。
くれぐれも気を付けて逃走されないようにしてください。
避難所での暮らし
避難場所ではスペースの関係や、ペット嫌いや猫アレルギーの方がいることからも、飼い主と猫が一緒に過ごすことはできないことが普通です。
猫たちは決められた場所での集合飼育場で過ごすことになります。そうなった場合には、ほかの動物と一緒でのストレスもあるでしょうから、一刻も早く飼い主と過ごせるようになることを願うばかりです。
自動車での避難や生活
自動車がある方は、車内にケージを入れ、キャットフードと水とトイレを用意すれば、猫にとってしばらくは避難所の集合飼育場よりはストレスのない生活ができるかもしれません。
ただ、夏場は車内が60度近くまで暑くなりますし、冬場は逆に寒くなり、猫の健康状態には飼い主のまめな注意が必要となります。
まとめ
猫は家族の一員です。非常時においてもできるだけ一緒にいてあげたいですが、まずは人々の生活が出来てのことになってしまいます。
ただ、猫も家族の一員として忘れずに、ご家族で日頃からの災害対策や災害が起こった際の作業分担などを、シミュレーションして話し合っておきたいものです。