猫好きの方なら、猫の愛らしいしぐさはいくら見ていても飽きないですね。
そのしぐさをよく観察してみると、猫は人間とは身体のつくりが違っていて、人間ほど器用に指や手(前足)を動かせないためにかえって愛らしいと感じることがあります。
今回は中でも、みなさんも一度は繰り出されたことがあると思われる「猫パンチ」を取り上げてみたいと思います。
この記事の目次
猫パンチとは?
猫の手(前足)はよく見ると、人間ほど指が器用に独立して動かず、長くありません。そのため、物をつかんで運ぶことはできませんし、「こっちに来て」、「あっちに行って」など、繊細な手の表現によって相手に気持ちを伝えることも人間ほどはできません。
人間ではパンチというと、五本の指を折りたたんでこぶしを作り、物や人間をたたく・なぐることをいいますが、猫の場合は、人間の手首にあたる部分のスナップで触ったり、たたいたりすることを「猫パンチ」と呼んでいます。
猫パンチができるのは、痕跡ながら鎖骨があるからで、退化してしまっている犬ではできません。
人間と猫が一番違うところは、猫は爪を出したり出さなかったりを自在に行うことで、相手にどのくらいのダメージ・ケガを与えるかを調節することができることです。
猫パンチの5つの種類
猫パンチをされた方は、「どうしてされたのかな?嫌われたかな?」と思うかもしれません。
「嫌われたのかな?」と思う理由には、人間の場合はパンチというと相手に攻撃を加える手段や行為以外には考えにくいため、猫からのパンチにも同じように「相手を攻撃=嫌いになった」と思ってしまうのです。
でも、安心してください! 猫パンチの意味には攻撃もありますが、それは一部であって、ポジティブな意味がほとんどです。
そのあたりを猫の習性も含めて詳しく紹介してみましょう。
① 安全を確認する
猫の本能の一つ、防衛本能について
猫は今では人間と共存して暮らすことができる動物ですが、元々は狩猟で獲物を捕り生活していた動物です。生きるか死ぬかの弱肉強食の世界が身近にある環境では、防衛本能が働き、動くものに敏感で、目の前で動くものや俊敏に動くものには、危険はないか、攻撃してこないかを確かめる行動をとります。
安全かどうかを確認する
気になる動くものがあったら、「安全かな?」「攻撃してこないかな?」を確かめるためにパンチをするような動作で物を引き寄せたり、物を軽くつつくように触ったりします。
人間の手ほど前足のつくりが繊細にできていないので、それがパンチに見えるのです。
安全である、攻撃してこない、と確認出来たらパンチを連続して繰り出して遊んだりします。
② 遊んでほしい
基本的に猫は平和主義で、できるだけ争いは避けようとする動物です。猫パンチには「遊びたい」の意味があります。
野生の猫と人間飼いの猫の違い
野生の猫は、子猫の時代に親兄弟の間でじゃれ合う中でパンチを手加減したりしてどこまで攻撃するとどうなるか、といった加減を学びます。
でも子猫から人間に育てられた猫の場合は、そういう経験をしない中で育つために力加減を知らずに成猫になるものもいます。
遊んでよの合図
子猫同士のじゃれ合いの初めは必ずどちらかの子猫がちょっかいを出して始まります。「遊んでよー」の合図です。
私が「ぽこりんダッシュ」と呼んでいる、人間に猫パンチをして逃げ出すしぐさは、一般的には人間に対する「遊んでよ、構ってよ」の合図です。
③ 不快である
構いすぎには注意
猫は大変気が変わりやすい動物です。最初は楽しそうに興味を持って遊んでいても、長く遊んでいると飽きて不快感を示します。
撫でていて気持ち良さそうにしていたのに、なぜか急に猫パンチを繰り出されることがあります。これは、長く同じことをされると猫の緊張感が高まり不快を示している行動です。爪を立てませんので、撫でている人を嫌いになった訳ではありません。
ただ、人間に育てられた猫はそのあたりの加減を知りません。ケガを避けるためにも、構いすぎに注意して、長く同じことをしないように気を付けると良いでしょう。
残念ながら嫌いな人もいます
理由は猫にしかわかりませんが、猫によってはどうしても苦手な嫌いな人もいるようで、家猫では家への客人にそういう人がいると玄関に近づくだけでもうなり声を上げることがあります。
自分のテリトリーに入ることへの不快感なのでしょうが、場合によっては猫パンチを繰り出すこともあります。
あと、低い声や大きな声も嫌いますので、そういう際には猫パンチが出ることもあります。
病気に注意
同じ場所を触られてパンチをされる場合には、その部分が痛いので不快を感じていることがあります。そういう場合には病気が疑われますので動物病院に相談してみましょう。
④ 攻撃
猫は基本的には平和主義で、争いやケンカを嫌います。でも縄張り意識は強く、自分のテリトリー(縄張り、領域)に初対面の猫が入ってくると、まずは声で威嚇を始めます。
威嚇することは相手に対して向こうに行くように知らせて、争いを避ける意味もあります。それでも行かない場合には、けん制の意味で爪を立てて軽くパンチを繰り出します。それで相手が応戦するつもりなら本気のケンカに発展します。その際には爪を立てて相手にキズを負わせることもあります。
⑤ これっておそらく不快感?
人間と長く暮らしていると、猫は人間の行動や言葉を理解するようになります(断言)。例えば家人がその猫の困った行動を告げ口したような時には、告げ口した家人に向かって猫パンチして逃げ出す行動を取ります。
「ぽこりんダッシュ」ですが、告げ口した行為を見ていて、「告げ口したでしょ、猫パンチ!」という意味であることは明らかです。遊んでよ、のお誘いとは思えないので不快感を示す行為に属するのではないでしょうか。
まとめ
猫パンチとは、ほとんどは相手を嫌う気持ちではなく、遊んで欲しかったり、不快感を示したりしたときの行動です。
あまり長く同じ行動を取ることで不快に思ったり、小さい頃から人間に飼われてきた猫には猫パンチの力加減や爪の立て方がわからず、人間にケガをさせることもあります。
人間とは違った猫の性質の情報を前もって知っておくことは、人間側の不慮のケガや不愉快な気持ちなることを未然に防ぐ助けとなります。
猫の気持ちを考えて、猫からのサイン(兆候)を見逃さず、遊んであげると良いですね。